関節リウマチは、免疫異常によって起こる膠原病の一種で、手足をはじめとして全身の関節に炎症が起き、進行すると骨や軟骨の機能が損なわれ、日常生活が大きく制限されます。全人口からみた関節リウマチの有病率は0.5~1.0%で、日本でも70万人以上の患者さんがおり、毎年約1万5000人が発症しています。
関節リウマチに対する治療は、これまで、消炎鎮痛剤等の服用による痛みを抑える対処療法が主体でした。しかし、2000年以降に、関節破壊の中心的な役割を果たしているサイトカインの働きを止める生物学的製剤や、サイトカインのシグナル伝達を阻害するJAK阻害薬などの低分子化合物が開発され、これらの画期的な薬剤の登場によって、関節リウマチの治療は飛躍的に進歩しました。しかし、どのような臨床的な特徴をもった患者にはどの治療薬が適しているかを明らかにするためには、実臨床のリアルワールドデータの解析が必要です。
このような背景のもと、我々は、多様なリウマチ患者さんの傾向を把握し日常診療に役立てるためには、診療のデータ化(コホート)が必要と考えました。そこで、京都大学、大阪医科大学(※1)、大阪大学、関西医科大学、神戸大学、奈良県立医科大学の関西の6大学が中心となり、関西で多施設合同のデータベースANSWERコホート(Kansai consortium for well-being of rheumatic disease patients)を立ち上げました。ANSWERコホートには、現在、約9千名の関節リウマチ患者さんの投薬内容を含む詳細な臨床データと、延べ11万件におよぶ経時的な疾患活動性データが保存されており、我々はこのデータベースを活用して様々な研究活動を行っています。ANSWERコホートコンソーシアムは、このANSWERコホートデータベースの運用管理および継続的な研究活動を行うこと目的とした一般社団法人です。現在、前述の6大学に大阪赤十字病院を加えた計7施設(※2)が参加しており、今後も参加施設を増やし、より多様なデータを収集していく想定です。
関節リウマチの診療は大変に進歩しましたが、患者さんがリウマチを発症する前と変わらない生活を取り戻すためには、まだまだ解決しなければならない課題が残っています。それらの課題に対する「答え」となるような質の高い臨床研究を、ANSWERコホートから世界へ発信していきたいと願っています。
2018年12月13日 一般社団法人 ANSWERコホートコンソーシアム 代表理事 橋本 求
名称 | 一般社団法人ANSWERコホートコンソーシアム |
法人設立 | 平成30年(2018年)12月13日 |
代表理事 | 橋本 求(大阪公立大学) |
理事 | 蛯名 耕介(大阪大学) 小谷 卓矢(大阪医科薬科大学) |
監事 | 大西 輝(京都大学) 原 良太(奈良県立医科大学) |
評議員(五十音順) | 岡野 匡志(大阪公立大学) 沖田 康孝(大阪大学) 片山 昌紀(大阪赤十字病院) 孫 瑛洙(関西医科大学) 野﨑 祐史(近畿大学) 吉川 紋佳(大阪医科薬科大学) 原 良太(奈良県立医科大学) 村田 浩一(京都大学) 山田 啓貴(神戸大学) |
設立目的 | リウマチ性疾患の研究及び診療内容の向上 |
事業内容 | (1) リウマチ性疾患診療データの蓄積及び解析 (2) リウマチ性疾患治療向上のための調査研究 (3) 研究者・教育者の育成 (4) 刊行物の発行 (5) 普及・啓発に関する事業 (6) その他前各号に付帯関連する一切の業務 |
大阪大学 大阪医科薬科大学 大阪公立大学 大阪赤十字病院 関西医科大学 京都大学 近畿大学 神戸大学 奈良県立医科大学 |